CASES
金属部品に付着した指紋の油分測定
はじめに
金属部品に付着している指紋は後工程においてトラブルの原因となります。塗装工程、メッキ工程などの表面処理をする場合、部品表面に指紋が付着していると表面処理がされないといったトラブルが挙げられます。また、付着油の残渣によって後工程に影響を及ぼすこともあり、金属製品表面の油分定量分析は、品質管理項目の重要なひとつであると考えられます。
付着油の問題でお困りのお客様は、お気軽にお問合せください (相談無料)。当社技術者が直接お打合せさせていただき、問題解決の道筋をご提案します。
【不良イメージ】
Fig.1 付着油よって起こる不良イメージ
【不良モード】
Fig.2 付着油よって起こる不良モード
金属部品の指紋の油分を定量する方法として、四塩化炭素抽出による赤外分光光度法があります。
例として、Aさん、Bさん、Cさんの金属部品上の指紋の油分量を測定しました。
外観写真・分析概要
Fig.3 資料写真 Fig.4 拡大写真(指紋付着あり)
金属表面を顕微鏡にて観察を行い、指紋の面積を計測しました。その後、四塩化炭素で抽出し、抽出液の赤外線吸収を測定します。有機物を示す2800 cm-1付近~3060 cm-1付近のC-H伸縮振動由来のピーク面積値にて定量を行います。油の標準物質として、2,2,4-トリメチルペンタン、ヘキサデカン、ベンゼン混合液標準物質(OCB混合標準物質)を用い、検量線を作成し油分を算出しました。
なお、抽出に使用する四塩化炭素(CCl4)は、C-H結合がないためC-H伸縮振動由来の吸収ピークは観測されません。
分析結果
油分定量分析方法
Table 2 油分定量分析方法
| フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR) | ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS) | 重量法 | |
|---|---|---|---|
| 標準物質 | OCB混合標準物質 | 必要 (ご提供) | 不要 |
| 対象物質 | 四塩化炭素溶解成分 | 有機溶媒溶解成分 沸点約400 °C未満 |
ヘキサン溶解成分 |
| 定量下限 | 0.2 µg~0.2 mg (試料による) |
10 µg~1 mg (試料による) |
1 mg |
注意事項
試料をご提供いただける場合、有機化合物を含まないアルミホイルなどで試料を包んでご提供ください。
ポリエチレン製の袋などに包むと、袋の内側の滑剤である脂肪酸アミドが測定を妨害します。
用途例
- 部品の清浄度評価
- 部品・製品の付着油分析
- 洗浄液の油分量測定
- 洗浄液の混入油分分析
関連規格
- JIS K 0102:工場排水試験方法 Testing methods for industrial wastewater
- 油汚染対策ガイドライン
Q&A
分析可能な試料サイズを教えてください。
専用容器に入れる必要があるため、5 cm四方までとなります。
それ以上のものは、カットをしていただく必要がございます。
試料が大きい場合、測定方法を含め、カットの方法をご相談させていただきます。
試料送付方法を教えてください。
試料をアルミホイルの光沢のない面を内側にして包み、送付をお願いします。
プラスチック袋などは、袋の内側の添加剤が微量の付着成分として検出される場合があります。
微量の有機化合物の付着を防ぐために、試料は有機化合物を含まないアルミホイルなどで包むことを推奨します。
分析依頼をしてから、どれぐらいで分析結果をもられますか?
試料受領後、翌日起算10営業日程度でメール速報いたします。
お急ぎの場合は、可能な限りご要望にお応えします。
別途、特急料金をいただく場合もございます。
どんな油でも測定可能でしょうか?
植物性、動物性の油などすべての油について測定可能です。
指紋なども検出されますので、取扱いには十分注意して前処理及び測定を行います。
Fig.5 指紋領域の面積計測 (赤枠内の面積: 254 mm2)
Fig.6 FT-IRスペクトル