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石綿 (アスベスト) 調査・分析

2025.12.26

特定工作物とは?用語の定義とアスベスト調査の対象設備を分かりやすく解説

解体工事を行う際によく耳にする「特定工作物」。この言葉は、実は都市開発法と石綿障害予防規則では異なる意味を持つことをご存知でしょうか?

都市開発法では、特定工作物は「開発許可を受ける必要がある工作物」を指し、周辺地域の環境に悪影響をもたらすおそれがあるものとして規制の対象となる人工物を意味します。一方、石綿障害予防規則では、特定工作物は「アスベスト含有のおそれのある工作物」と定義され、断熱・防火等の目的でアスベストが使用されたおそれの高いものとして厚生労働大臣により定められています。

つまり、工作物の解体工事を行う際には、都市開発法上の「特定工作物」は必ずしもアスベスト調査の対象とはならない一方で、石綿障害予防規則上の「特定工作物」はアスベスト調査が必要となります。

本記事では、石綿障害予防規則における「特定工作物」の定義を具体的な例を交えながらわかりやすく説明していきます。

1.「特定工作物」の定義

都市開発法では、建築物や工作物をつくる目的で宅地造成などを行なう場合には、開発許可を受ける必要があると定められています(都市計画法第29条より)。この開発許可の対象となる工作物を「特定工作物」と言い、周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物(第一種工作物)や、大規模な工作物であって、都市計画法施行令第1条第2項に規定されたもの(第二種工作物)があります。

具体例:コンクリートプラント、ゴルフコース、テニスコート、墓園など

石綿障害予防規則では、アスベスト含有のおそれのある工作物を「特定工作物」と言い、石綿則第4条の2第1項第3号に規定されています。
次章から、石綿則における特定工作物の具体例を紹介していきます。

2. アスベスト調査の対象設備となる特定工作物

2.1 ボイラー及び圧力容器 【炉設備グループ】

  • ボイラーのパッキン・フランジ、ユニオン等に石綿資材の使用可能性あり
    ※2006年からの経過年月を考えると、ほとんどのパッキンが解放検査等により無石綿に交換されていると思われるが、残されている可能性のある個所は、本体と煙道の繋ぎ目である
  • 日本で最も使用割合の高い「簡易ボイラー」は、使用年数が~10年程度であるため、現在使用されている簡易ボイラーでは石綿含有資材はない。注意が必要なのは使用されていない停止設備である

2.2 焼却設備 【炉設備グループ】

  • 一般廃棄物焼却設備 (市町村等の清掃工場)
  • ダイオキシン類対策に係る廃棄物焼却施設
        ・対策要綱適用対象施設 (ダイオキシン類特措法別表第1)
        ・工事計画届の義務付け施設 (安衛法第88条)
  • 廃棄物処理法における焼却設備 (産業廃棄物処理施設として設置許可を要する施設)

2.3 電気設備 【電気設備グループ】

  • 事業用電気工作物及び自家用電気工作物は「特定工作物」に該当する
    一方、一般用電気工作物は「建築物」「その他工作物」にあたる

2.4 トンネルの天井 鉄道施設を除く 【建築物一体設備等グループ】

  • 天井板・・・トンネル用押出成形セメント板 (ノザワ製など)
  • 内装化粧板・・・スレート板、二丁掛タイル押出成形セメント板 (ノザワ製など)

2.5 遮音壁・軽量盛り土保護パネル 【建築物一体設備等グループ】

  • 遮音壁・・・スレート (日本ガイシ製など)
  • 盛土保護壁・・・押出成形セメント板 (ノザワ製など)
  • コンクリート構造物・・・被覆材の中塗り剤 (東亜合成製など)、コンクリート目地材(日本シーカ製など)等 ※使用箇所、年代は限定的である

2.6 観光用エレベータ昇降路の囲い 【建築物一体設備等グループ】

対象:展望できるシースルーの囲い (シャフト)
用途:防振塗料、耐火被覆材、ガラスのシール材等

3. その他工作物

3.1 塗料

  • 塗料の業界別アスベスト使用割合  (一社)日本塗料工業会より 業界におけるアスベスト使用実績まとめ

            自動車用関係(防音・制振)塗材  40.6%    ← ダレ防止用
             建築・外装塗装材 14.2%    ← 厚塗りに限る(ダレ防止用)
             重防食関係塗装材 10.6%    ← ダレ防止用
             流し台・鋼板用結露防止塗材 6.0%
             舗装・カラー塗材 2.6%
             電気絶縁材料 0.1%
             木工家具用(不飽和PE塗料他) 0.1%
            その他(接着剤・建材・見本板等)塗料以外 25.8%

  ※塗料のアスベストは、塗料メーカと施工年が分かれば含有有無が判断できる(橋梁などには表示あり)

  • 塗料のアスベスト使用部位の例
    エレベータ、エスカレータの場合 (メーカヒアリング)
  • 防振塗料が塗布された部品 (エレベーターかご天井、かご側板、扉の裏面)

3.2 シーリング材

  • 油性コーキング材、ブチル系シーリング材に含有あり ※シリコン系シーリング材には含有なし

3.3 モルタル/モルタル混和剤

  • 通常のセメントモルタルには石綿含有のおそれはない
  • 耐火モルタルや防水モルタルに含有の可能性はあるが、分析で検出されたとしてもサンプリングや分析に問題があることの方が多い
  • モルタル混和剤にも石綿含油の可能性がある
  • 電柱は、モルタル等で補修されたコンクリート電柱のみ該当する

3.4 接着剤・パテ・コンクリート補修材

注意点 シール材(ガスケット・パッキン)

  • シールとは、流体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止する機能または部品のこと (JIS B0116:2020 「パッキン及びガスケット用語」)
  • ガスケット、パッキンは高含有率の物あり
  • ガスケット等は、劣化により付着しており、かき落としせざるを得ないこともある 資材レベルとしてはレベル3でも、劣化状況によってはレベル2として扱うことも必要となる

4. 工作物の石綿含有の見分け方

石綿含有の有無の判断根拠とできるものは、以下の7通りあります。

  1. 「国土交通省・経済産業省 石綿(アスベスト)含有建材データベース」確認
  2. 製造企業のホームページ情報・証明書
  3. 設置時期 (銘板等確認)
  4. 定期修理の日時  ・・・無含有資材に更新するなど、変更の可能性があるため
  5. 分析による
  6. 石綿データベース非含有建材
  7. みなし 

5. まとめ

本記事では、石綿障害予防規則における「特定工作物」の定義や具体例を解説しました。
アスベスト含有の可能性を正しく理解し、適切な調査と対策を行うことで、作業員の健康を守り、安全な解体工事を進めることが可能となります。ぜひ今後の解体工事におけるアスベスト対策に役立ててください。

当社では、有資格者による事前調査、試料採取から分析、除染工事までを一貫してご対応いたします。お気軽にお問い合わせください。