CASES
本わさびのにおい成分解析
本わさびは、チューブで販売されている練りわさびとは異なり、特有の爽やかなにおいがあることが知られています。今回、岐阜県大垣市の「名水わさび」様で生産されている本わさび(真妻)を使用して、そのにおい成分の差を確認することができました。
商品提供ご協力:「名水わさび」様 (https://meisui-wasabi.com/)
人による感じ方の違いの検証
まず、人による感じ方の違いを検証しました。(Table 1)
Table 1 人による感じ方の比較 (自社社員の有志数名による検証)
| 検証項目 | 本わさび(品種:真妻) |
チューブ型わさびA *1 |
チューブ型わさびB *1 |
| におい(人の鼻による) | 青々とした植物の香り | ツンとする (Bより香りが強い) |
ツンとする (Aより香りが弱い) |
| 口あたり | 爽やかなグリーン感 | 塩辛い、油感 | 塩辛い、油感 しびれる感じが一番強い |
*1 チューブ型わさびは、A・B共に同製造メーカーの物を使用しました。
チューブ型わさびA:原料に本わさびの記載 チューブ型わさびB:原料に本わさび、西洋わさびの記載
GC-MSによる分析
分析概要
わさびと一緒に固相抽出素子を封入し、Fig.1のようににおい成分を捕集分析しました。
①鮫皮ですりおろした本わさび
②本わさびと固相抽出素子
③真空引き後に封止した状態
④専用カップ
Fig.1 分析フロー
分析結果
同じ質量のすりおろした本わさび(真妻)、本わさび(正緑)、チューブ型わさびA、チューブ型わさびBを、Fig.1に記すように処理し、分析を実施しました。各わさびについてGC-MSで得られたガスクロマトグラム (Fig.2) を比較し、本わさびとチューブ型わさびとの検出成分に違いがあることが確認されました。
Fig.2 ガスクロマトグラムによる本わさび及びチューブ型わさびの揮発成分の比較
Fig.3-1 本わさびから多く検出された成分
Fig.3-2 本わさびから検出されなかった成分

※上記は1回の試験における結果を示す
最も検出された本わさび(真妻)のアリルイソチオシアネートの検出量(ピーク面積値)を100%とした比率を表記
※各成分のにおい閾値*5が不明であるため、どの成分がどの程度 (わさびの) においに寄与しているかは不明
*3 Fig.3のクロマトグラムにおけるナンバリング順に記載
*4 国際連合食糧農業機関 (FAO) https://www.fao.org/home/en/ におけるFood safety and quality “Specifications for Flavourings” Odour の項引用
*5 におい閾値とは、人がにおいを感じるための最小の量
Fig.4 検出成分と成分のにおい情報
結論
今回の試験では、本わさびから、わさびの香りの主成分として論文等で報告されている「アリルイソチオシアネート」をはじめ、様々なにおい成分が検出されました。チューブ型わさびから得られた結果と比較すると、イソチオシアネート類の成分においては、検出量に有意な差が確認されました。
また、西洋わさび特有のにおいとして知られている「2-フェニルエチルイソチオシアネート」は、西洋わさび入りのチューブ型わさびにおいてのみ、検出されました。なお、その他、論文等で報告されている本わさび特有の成分は、本試験法では適していない、もしくは、極微量であるため検出できなかった可能性があります。