CASES
微量元素分析における測定環境由来の汚染について
汚染(コンタミネーション)について
分析を行うには、分析試料を処理するため何らかの器具や薬品、分析装置を使用しなくてはなりません。
ここでもっとも重要になるのが、分析器具、分析装置や試験室などによる汚染 (コンタミネーション)の問題です。
分析の品質管理システムを遂行するには、汚染のない分析環境を整備することが重要となります。
近年、分析装置における濃度範囲は低濃度化し、高感度・高精度で測定できるようになり、分析値に対する汚染の影響を検討する必要がでてきました。そこで今回、分析試料が接触する可能性の高い器具『採取容器』と『ゴム手袋』の二つから、どのような汚染があり得るのか、実際に検討してみました。


採取容器からの汚染
方法
- 新品のスクリューキャップ付きガラス瓶に2%硝酸を入れる
- キャップをして1分間攪拌したものを洗浄1回目の試料とする
- 2.の容器に2%硝酸を入れ、同じく1分間攪拌したものを洗浄2回目の試料とする
- 酸洗浄済みのPP製の容器に2%硝酸を入れたものをブランクとする
- ICP-MSにて定性分析及び半定量分析を実施。
Fig.4 外観写真
結果
Table 1 検出濃度
| サンプル名 | 検出濃度 (µg/L) | |
| Na | K | |
| ガラス瓶 洗浄 1回目 | 350 | 49 |
| ガラス瓶 洗浄 2回目 | 26 | 8.0 |
| PP製 容器 | N.D. | N.D. |
注記: 2%硝酸で洗浄しても、10〜30 µg/L程度のNaやKなどがガラス容器から溶出する。
ご提案:
1 μg/L レベルの定量下限を希望される場合は、清浄な採取用容器を弊社からご提供します。
ゴム手袋からの汚染
方法
- A社、B社の各々のゴム手袋の外側を内側にして、5%硝酸を入れ、2時間静置
- 1.の硝酸を酸洗浄済のPP製容器に移し替え、ICP-MSにて定性分析及び半定量分析を実施
Fig.5 外観写真
結果
Table 2 検出濃度
| サンプル名 | 検出濃度(µg/l) | |
|---|---|---|
| Na | K | |
| ゴム手袋 A社 | 260 | 510 |
| ゴム手袋 B社 | 780 | 1800 |
注記: メーカーによって手袋に付着している元素の濃度が異なる。
当社では、汚染の少ないメーカーのゴム手袋を採用し、使用前に超純水で洗浄してから作業しております。
超微量分析専用クリーンルームでは、超純水やウェーハ、高純度薬品などの超微量分析が可能です。
Table 3 超微量分析の定量下限値の一例 (超純水の分析)
| 項目 | 単位 | 定量下限値 | 分析方法 |
| Na | ppt | 10 | ICP-MS |
| Al | ppt | 1 | ICP-MS |
| Cr | ppt | 1 | ICP-MS |
| Fe | ppt | 1 | ICP-MS |
| Ni | ppt | 1 | ICP-MS |
| Cu | ppt | 1 | ICP-MS |
| K | ppt | 1 | ICP-MS |
| Ca | ppt | 3 | ICP-MS |
| Mg | ppt | 1 | ICP-MS |
| Mn | ppt | 1 | ICP-MS |
| Zn | ppt | 3 | ICP-MS |
| Cd | ppt | 1 | ICP-MS |
| Pb | ppt | 1 | ICP-MS |
| Cl⁻ | ppb | 0.01 | 濃縮-IC |
| SO₄²⁻ | ppb | 0.01 | 濃縮-IC |
| NO₃⁻ | ppb | 0.01 | 濃縮-IC |
| PO₄³⁻ | ppb | 0.1 | 濃縮-IC |
| イオン状シリカ | ppb | 0.1 | ポストカラム-IC |
備考:さらに低濃度域の分析が必要な場合は、別途トラベルブランクを含めたブランク試験を行い、定量下限を検討致します。