石綿(アスベスト)調査、信頼性試験､土壌分析はイビデンエンジニアリングへ

 (最終更新日：2025年5月21日)

アスベストは、優れた保温・断熱性を持つ建材として、かつては多くの建築物に使用されていました。しかし、アスベストの繊維を吸い込むと、肺胞に沈着し肺の中に長く滞留して、肺がんや中皮腫などの深刻な健康被害を引き起こすことが明らかになったことから、現在では使用が規制されています。そのため、古い建物の解体・改修を行う際には、事前にアスベストの含有の有無を調査する必要があります。 しかし、アスベストが使用されているのは建築物だけではありません。工作物に関しても、保温・断熱材としてアスベストが広く使用されているため、老朽化等により解体する際には事前調査が必要です。この事前調査を行う資格について、令和8年1月より工作物石綿事前調査者を取得した者による調査が義務化されることになっています。

＜目次＞

1. 工作物とは
   　炉設備グループ
   　電気設備グループ
   　配管・貯蔵設備グループ
   　建築物一体設備等グループ
2. アスベストに関する資格・許認可
3. まとめ

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1. 工作物とは

工作物とは、厚生労働省が規定する石綿則第4条によると、以下の設備が代表的なものとして挙げられます。

• • 反応槽
  • 加熱炉
  • ボイラー及び圧力容器
  • 焼却設備
  • 配管設備 (建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く。）

• • 発電設備 (太陽光発電設備及び風力発電設備を除く)
    
  • 変電設備
  • 配電設備
  • 送電設備（ケーブルを含む。）

• • 貯蔵設備（穀物を貯蔵するための設備を除く。）

• • 煙突（建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く。）
  • トンネルの天井板
  • プラットホームの上家
  • 遮音壁
  • 軽量盛土保護パネル
  • 鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板
  • 観光用エレベーターの昇降路の囲い（建築物であるものを除く。）

(「工作物に係る石綿事前調査者の要件の検討について」を参考にイビデンエンジニアリングが作成)

これらは特定工作物に区分され、アスベスト使用の恐れが高いものとして厚生労働大臣により定められています。なお、穀物を貯蔵するのが目的の貯蔵設備など、一部の設備は義務の対象外のものもあるので注意が必要です。

さらに、特定工作物に該当しない場合でも、塗料その他でアスベストを含むものが使われている場合、工作物の事前調査が必要になります。具体的には、塗料やモルタル、コンクリート補修材などは、一部でアスベストが使用されている可能性があります。

注意が必要なのは、工作物の種類によって調査できる資格が異なる点です。工作物石綿事前調査者であれば、すべての工作物の事前調査を行うことができますが、特定工作物のうち炉設備・電気設備・配管貯蔵設備グループに関しては、建築物石綿含有建材調査者は事前調査を行うことができません。

2. アスベストに関する資格

ここまで、新たに義務化が決定している工作物石綿事前調査者について、対象となる設備を中心に解説してきました。ここからは、工作物石綿事前調査者を含むアスベスト関連の資格や許認可について、事前調査・分析・除去工事・処分の工程別にまとめていきます。

【事前調査：個人資格】

• 石綿含有建材調査者・・・建築物の解体・改修工事を行う前に必要な事前調査を行うための資格
  • 特定建築物石綿含有建材調査者
  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 一戸建て等石綿含有建材調査者
• アスベスト診断士 (日本アスベスト調査診断協会への登録)・・・石綿含有建材調査者と同等以上の技能及び知識を有すると認められるもの
• ^(NEW) 工作物石綿事前調査者・・・工作物の解体等の作業を行う前に必要な事前調査を行うための資格

【分析：個人資格】

• 分析調査講習を修了した者(学科・実技)・・・アスベストの分析をするために必要な資格
• 分析調査講習と同等以上の技能及び知識を有すると認められる者
  • 石綿分析技術評価事業　AランクまたはBランク認定分析技術者　：(公社)日本作業環境測定協会
  • アスベスト偏光顕微鏡実技研修 (建材定性分析エキスパートコース)の修了者　：(一社)日本環境測定分析協会
  • 建材中のアスベスト定性分析技能試験 (技術者対象) 合格者　：(一社)日本環境測定分析協会
  • アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター　：(一社)日本環境測定分析協会

【分析：事業所認定】

• 建材中のアスベスト定性分析技能試験　(試験所対象)　建材中のアスベスト定性分析技能試験、位相差顕微鏡によるアスベスト繊維計数技能試験　：(一社)日本環境測定分析協会

【除去：個人資格】

• 石綿作業主任者・・・石綿取扱作業についての計画立案・現場での指揮監督をするための資格
• 石綿取扱作業従事者・・・アスベスト関連の作業に従事するための資格　(例：解体現場に入る、アスベストを含む建材を運搬する)

【運搬・処分：個人資格】

• 特別管理産業廃棄物管理責任者・・・廃石綿等に該当する場合

【運搬・処分：事業所許認可】

• 特別管理産業廃棄物収集運搬業・・・廃石綿等に該当する場合
• 産業廃棄物収集運搬業・・・石綿含有産業廃棄物に該当する場合

その他：分析結果の信頼性を確保するための分析機関としての望ましい組織体制

• ISO/IEC17025
• 環境計量証明事業登録手引き（2019）
• 登録検査機関における水質検査の業務管理要領の策定について（平成 24 年）

 3. まとめ

アスベストはさまざまな建材や工作物に広く使用されていたため、適切な知識と資格を持った専門家による調査・分析・除去作業が重要です。アスベストに関する規制は今後も強化されていくことが予想されますので、最新の情報を収集し、健康被害や環境汚染の予防に貢献していくことが求められます。