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ガス透過性試験
試験概要
ゴム・プラスチック等の高分子材料は、その材料の種類や厚さ等に応じて程度は異なりますが、気体を通過させる性質があります。このような性質を気体透過性と呼びます。
工業製品に使用される高分子材料は、信頼性の観点から各種気体を遮断するバリア性能が重要な指標となるため、
製品開発プロセスにおいて、この気体透過性を把握することが必要です。
ゴムとプラスチックで試験規格が分かれていますが、基本的な試験方法は同じです。
- JIS K 6275:加硫ゴム及び熱可塑性ゴム
- JIS K 7126:プラスチック-フィルム及びシート
※規格には「差圧法」と「等圧法」がありますが、当社では「差圧法」のみ実施可能となります。
測定方法について
ガス透過性を測定する差圧法の試験方法には、圧力センサ法、ガスクロマトグラフ法があります。
JIS K 6275-1 (ゴムの規格) をベースに測定方法を解説します。
差圧法の原理
試験セルに試験片を装着し、一方を試験ガスで加圧、もう一方を減圧することで試験体に差圧を与え、
その圧力差を推進力とすることで、試験体に試験ガスを透過させます。
圧力センサ法
Fig.1 ガス透過性試験装置@圧力センサ法のイメージ図
Fig.2 ガス透過曲線イメージ図
測定の手順
- 試験片保持具を装着した低圧側セルと高圧側セルの間に、ガス漏れが生じないようにシール材を装着した試験片を固定します。
- 吸着ガスを除去するため、真空ポンプで低圧側・高圧側両方のセルを排気します。
- 低圧側・高圧側両方のセルの排気をストップし、10Pa以下の圧力に保ちます。
- 試験ガスを高圧側セルに試験圧力で導入して、高圧側セルの圧力を記録します。
- 試験ガスが高圧側セルから定圧側セルへ透過し、低圧側セルの圧力が上昇し始める時の温度を記録します。
- 定常状態を示す直線部分が確認できるまで、ガス透過曲線 (低圧側セルの圧力-時間プロット)を描きます。
(Fig.2 参照)
計算方法
ガス透過度
試験片を透過する試験ガスの、単位面積、単位時間及び試験片両面間の単位分圧差当たりのモル数

GTR:ガス透過度 [mol/(m2・s・Pa)]
Vc:低圧側セルの体積 [m3]
R:気体定数 8.31[m3・Pa/(K・mol)]
T:試験温度 [K]
Pu:試験ガスの高温側と低温側との圧力差 [Pa]
A:ガス透過面積 [m2]
dp/dt:単位時間当たりの低圧側セルの圧力変化 [Pa/s] ⇒ Fig.2 参照
ガス透過係数
試験片を通過する試験ガスの、単位厚さ、単位面積、単位時間及び試験片両面間の単位分圧差当たりのモル数

Q:ガス透過係数 [mol・m/(m2・s・Pa)]
GTR:ガス透過度 [mol/(m2・s・Pa)]
h:試験片の平均厚さ [m]
ガス拡散係数
単位時間に試験片内のある断面を拡散しながら透過する試験ガスの量を、試験片内部のガス濃度勾配で割った値

D:ガス拡散係数 [m2/s]
θ:遅れ時間 [s] ⇒ Fig.2 参照
h:試験片の平均厚さ [m]
ガス溶解度係数
試験片内部への試験ガス溶解濃度を、試験片界面における試験ガス分圧で割った値

S:ガス溶解度係数 [mol/(m3・Pa)]
Q:ガス透過係数 [mol・m/(m2・s・Pa)]
D:ガス拡散係数 [m2/s]
ガスクロマトグラフ法
Fig.3 ガス透過性試験装置@ガスクロマトグラフ法のイメージ図
測定の手順
- 透過ガス濃度を定量化するため、試験片の測定条件と同条件にて検量線を作成します。
- 試験片保持具を装着した低圧側セルと高圧側セルの間に、ガス漏れが生じないようにシール材を装着した試験片を固定します。
- 吸着ガスを除去するため、真空ポンプで低圧側・高圧側両方のセルを排気します。
- 高圧側セルの排気を止め、試験ガス調節器から試験ガスを供給することで高圧側セルを一定圧力に保ちます。
すると高圧側セルから低圧側セルへ試験ガスの透過が開始します。 - バルブの開閉により、透過した試験ガスを一定時間 (t)、計量管に溜めこみます。
- キャリアガスにて、捕集したガスをガスクロマトグラフのカラムに導入し、試験ガスの量 (Dv)を測定します。
このときの試験セルの温度も記録します。 - 定常状態 (溜め込み時間と試験ガスの測定量が比例関係)になるまでを継続します。
- 低圧側セル排気時に、計量管中に存在する透過試験ガス量 (ブランク量Db)は、計量管の前後のバルブを同時に閉じ測定します。
計算方法
ガス透過度
試験片を透過する試験ガスの、単位面積、単位時間及び試験片両面間の単位分圧差当たりのモル数

GTR:ガス透過度 [mol/(m2・s・Pa)]
T:試験温度 [K]
T0:標準状態温度 273.15[K]
t:透過時間 [s]
Db:透過試験ガスのブランク量 [m3]
Dv:透過試験ガスの測定量 [m3]
Δp:試験ガスの高圧側と定圧側の圧力差 [Pa]
A:ガス透過面積 [m2]
k:計量管堆積から低圧側全体積を求める装置定数
0.0227:標準状態における1molの気体の体積 [m3/mol]
※ガス透過係数は圧力センサ法と同様の式にて算出します
※ガス拡散係数、ガス溶解度係数はガスクロマトグラフ法で算出することはできません
定量下限と測定可能なガスの種類
圧力センサ法
4.46×10-15 [mol /(m2・s・Pa)] or 8.75×10-1[cm3/(m2・24h・atm)]
ガスクロマトグラフ法
5.10×10-16 [mol /(m2・s・Pa)] or 1.00×10-1[cm3/(m2・24h・atm)]
※ガスクロマトグラフ法の場合、ピークの出方で定量下限も変動することがあります。
測定可能なガスの種類
CO2、H2、He、N2、O2、Air
用途・規格
- JIS K 6275-1:加硫ゴム及び熱可塑性ゴム (ガス透過性の求め方/差圧法)
- JIS K 7126-1:プラスチックフィルム及びシート (ガス透過度試験方法/差圧法)